きらいなひとにあこがれて
知り合いの詩人さんが作った詩集。
きらいなひとにあこがれて | wutayamamoto base
ご飯を食べることは、ほんとうは気持ち悪いことで、口に含み、ドロドロにして、飲み込んだはずの食物に、僕が奪われる。それは、口の中から世界が無理矢理侵入してくるような暴力で、それなのに気持ちよくなって、満たされたりしてしまうから、この身体は、あるいはこの僕すらも、僕のものにはなれない。もしも三大欲求のうち、眠るだけで生きることができたなら、ずっと夢を見ているのに、と思う。
普段、僕は言葉を吐き出していて、他の誰かの言葉を食べてもいて、渚に立ちながら外国を見るような気持ちで、向こうに人がいること、その人もまた言葉を吐き出したり、僕の言葉を飲み込んでしまう様を見ている。人と人とが話すだけで暴力的に侵入し合ってしまうことが、互いの輪郭を削りあっているような気がして、僕と話す人は、余計なお世話なのだけど、誰にも変えられないまま、誰も変えないまま、そのままでいてほしい。
孤独なまま人と話すことができたらいいけれど、こういう感情はたぶん歪で、でもこの詩集を読んでいたら少しだけ許された気がしてよかった。