ATMOS

無料です。アプリを作りました。
不眠症とADHDで、夜になると思考が止まらなくなる。
既存のアンビエントアプリを色々試したけど、どれも数分でループに気づいて余計に眠れなくなった。だから作りました。
ループも録音も使わないリアルタイム音響合成のアンビエントアプリ。
https://apps.apple.com/jp/app/atmós/ip/atm%C3%B3s/id6761055879

https://x.com/sunnova_downy/status/2043658822817108199?s=20

設定した位置情報の天候に連動してアンビエント音楽を生成して流してくれるアプリ。

上のポストを X で見かけて、添付された動画を見たら、脳にある皺のひとつひとつに、ゆっくりと冷たい水を注ぎ込まれるような気持ちよさがあり、これだよこれ、と思った。
使ってみると、デザインがよかったのと、天気に連動するという着想が面白く、これで眠ってみることにした。でも、眠れなかった。

ADHDの脳は「パターンの検出」が異常に早い。
だからループ素材の環境音だと、繰り返し地点が気になって逆に覚醒してしまう。

と、ツリーの中には書いてあり、ATMOSは絶対に同じ音がループしない作りになっているらしい。僕はADHDではないからか、ずっと新しい展開がされていくのがむしろ気になってしまった。個人的には、ループしていてくれた方が嬉しいみたい。ずっと異なる音でも audible なら眠れるのだけど、何が違うのだろう。とにかく、僕は睡眠用途には使えなかった。
追記:翌日試してみたらよく眠れました。スピーカーで少し遠くから鳴らすと、風が吹いているみたいで気持ちよかったです。

その代わり、昼間にがんがん流した。ヘッドホンをつけながら仕事中や、お昼にずっと聞いていた。天候と連動しているのもあって、耳元から風が吹いて肌を撫でられるような感覚に襲われ、擬似的な自然、と思った。自然を感じるのに自然ではない。それは、アルゴリズムによってエンコードされた自然の形で、Windowsの壁紙の草原を眺めることに似ていた。僕が実際の野原にいることと、アンビエントの音を聞き、Windows壁紙を眺めていることの間には一体どんな差があるのだろう。
というか、そもそも、なんで作業中や睡眠中に音を欲しているのだろう。ヘッドホンを外せば、冷蔵庫が筆の進まない小説家みたいに小さくうなっているし、夕方ごろになるとランドセルを背負った子どもが無邪気に掛けていく足音が鳴っていて、それは僕が普段、部屋で寝転がっていても、椅子に座っていても耳に入ってきているはずだ。それなのに、それとは別の抽象化された音楽を聞くこと、しかもそれが意識的に聞かれるためではなく、無意識的に聞き流されるためというのはなんなのだろう。
僕は今日一日ATMOSで音を流していたけれど、そのとき流れていた音がどんなふうだったのかをほとんど覚えていない。キャンプに行ったときに触れた川の水の冷たさを今では思い出せないようなことだと思う。

無意識、という言葉を使うときはいつも、自分ではないもう一人の誰かがここにいるような感覚になる。そいつは昼間に流していたアンビエント音楽を聞いていただろうし、なんらかの反応を取ろうとしていただろう。体をゆっくり横に揺らそうとしたかもしれないし、踊ろうとしていたかもしれない。でも、そいつは全身が真っ黒で表情がなく、口を開くこともできないし、笑うことも、泣くこともできない。関節を曲げることもできない。だから、じっとしている。脳と頭蓋骨の隙間あたりで静かに息をする。とても寂しそうで、かわいそう。でも、そいつが寂しく、かわいそうであることによって僕がアンビエントを聞いていることにもなんらかの意味があるような気がするのだが、これは全部妄想。

ATMOS、おすすめです。